ウッドショック

木材を購入する前に知ってほしい、「ウッドショック」に関する6つの知識 


近年、木材と関わっている際、「ウッドショック」という用語が必ず現れます。あなたは、「ウッドショックとはいったい何ですか?」、「ウッドショックなんて話題になりましたか?」などの悩みがありませんか? 

今回は木材市場の直面している危機:「ウッドショック」に関する6つの知識を紹介します。 
 
この記事で木材市場を混乱に陥れる「ウッドショック」、その定義、発生する原因、もたらした影響、日本木材需給状況、木材売買をする際の注意点、そして今後の見通しを分かりやすく説明します。 

目次: 

 

① ウッドショックとは?

② ウッドショックが発生する原因 

③ ウッドショックの日本への影響 

④ 日本の木材需給状況 

⑤ 木材購入際の注意点 

⑥ ウッドショックはいつまで続きますか?今後の見通しは? 

⑦ まとめ  

① ウッドショックとは? 

ウッドショック(Wood Shock)とは、2021年3月頃から木材産業や木造建築市場で話題となり、木材需要が急増したことにより木材不足、木材価格の高騰のことを指します。 

② ウッドショックが発生する原因

ウッドショックが発生する主な原因は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響によるものです。 

以下は、ウッドショックを引き起こした4つの複雑に絡み合う原因を簡単に示しております。 

  • 原因1:米国での新築住宅の需要が高まるにつれ、木材の需要も高まりつつあります。(※1) 
  • 原因2:景気回復期の中国における木材需要の増加は、輸入木材の需要も増加させました。 
  • 原因3:カナダで発生していた害虫被害や新型コロナの影響で労働者が減り伐採などの災害が木材の減少問題を引き起こし、木材需給バランスを崩してしまいました。 
  • 原因4:COVID-19感染症の拡大で、オンラインショッピングの台頭により、ネスティングの需要が高まり、コンテナの不足を引き起こしている。(※2) 

さらに、2021年3月にスエズ運河で発生した大型コンテナ船の座礁事故が日本へのコンテナ輸送の遅れに追い打ちをかけました。 

このような状況下で、荷積み・荷揚げの混雑なども影響され、木材の輸入が困難となり、日本におけるウッドショックが加速することとなりました。 

上記が木材不足、木材価格高騰のため「ウッドショック」を引き起した原因です。 

③ ウッドショックの日本への影響 

ウッドショックによって、日本は深刻な木材不足と木材価格の高騰の問題に巻き込まれました。その理由を以下に述べます。

    日本木材の自給率が低く輸入木材に頼り切っている 

世界的に木材に対する需要の急増及び価格が高騰の現状 
従って、 
日本にウッドショックが生じてしまいました。 

ウッドショックが日本に及ぼす3つの具体的な影響をご説明します。 

1.住宅価格の高騰 

米国や中国の木材需要高まったことから輸入材が調達にくくなり、住宅業界、建設や不動産業界などに深刻な影響を及ぼします。ご存知の通り、木材輸入価格の水準と国内木材価格の水準は相互に関連しています(※3)。2021年、住宅建築などに使用される丸太や製材の輸入価格は、上昇していると同時に国内の丸太や製材価格も上昇しています。輸入コストの増加イコール木材価格の増加、言うまでもなく、日本の住宅メーカーが使用する木材の7割は輸入木材であります。コストの上昇は住宅価格を直接押し上げました。  

また、ウッドショックにより、 

・日本住宅の建築単価は月ごとに値上がっており、今後も上昇し続ける恐れがあります。 

・新築戸建住宅売買業は、2020年4月に大きく落ち込んだが、幸い、8月に回復しました。 

・新築住宅用合板、材木、ラミネートの国内価格は過去に比べて非常に高いです。 

・日本ローコスト住宅や建売住宅の安価で販売する特徴が失いつつあります。 

などの影響が次々と起こっています。 

2.家が建てられなくなる、或いは工事を遅延されます。 

影響を受けたのは住宅価格だけでなく、住宅会社が木材不足問題に直面しており、契約されている期限通りに建物を完成させることが出来ず、工期が延長されたなどの問題が生じています。 

国土交通省の調査によると、2021年9月で、46%の中小工務店が木材の供給の遅れにより工事を遅延され(過去・現在の工事に遅れが生じた)に直面していました。 

3.ハウスメーカーや工務店の倒産 

工事の遅れが生じることが、建築費を高くします。 

要するに、契約ができても、建築費の増加により解約を求められるケースが発生しており、工期遅延や建築費の増加によるハウスメーカーや工務店の倒産リスクが高まります。 

以上のように、日本が木材輸入量不足、木材関連価格の上昇、および住宅建設が出来なく等の問題に直面しています。 

④ 日本の木材需給状況 

続いては、日本の木材需給状況を見ていきましょう。 

森林・林業学習館の示す森林・林業関連資料 

我が国(日本)の木材自給率と供給量 (shinrin-ringyou.com)   

は、日本の木材自給率は近年増加しつつ傾向があります。 

日本における材木の需給: 

・日本の木材自給率:70%程度が外国材に頼り切って、日本の木材自給率はわずか30%しかありません。 

・日本の供給量:(2020年)6千万m 

・1935年以降、日本の木材自給率は94.5%から18.2%に低下し続けました。 日本の木材自給率が徐々に回復したのは2004年のことでした。 

・日本自給率低下の原因: 

1つ目は、日本の森林は戦時中、軍需物資用として、および戦後に復興資材用として伐採され故に国産材の供給体制が追い付かなくなってしまいました。 

もう1つ目は、政府は林業の衰退や木材需要の急増などに対応するために、木材輸入の拡大を推進することが、日本の木材自給率を急速に低下に繋がっています。 

・日本の木材需給(供給)状況:(2019年) 

日本(国産材)33.3%; 

ベトナム、オーストラリア、チリ、中国など32.6%; 

アメリカ、カナダ(米材)15.3%; 

ヨーロッパ(欧州材)8.4%; 

マレーシア、インドネシア(南洋材)7.0%; 

ロシア(北洋材)3.5% 

・木材輸入相手国ランキング (TOP 3) 

Top 1:中国(11%) 

Top 2:カナダ(10%) 

Top 3:ベトナム(9.7%) 

ほかにも木材に関する情報はこちら 

 ⑤ 木材購入際の注意点 

木材を使用する企業が、ウッドショックによって深刻なダメージを受けています。 

従って、木材を購入する際に4つの注意点があります。 

① 木材調達の遅れによる工事の遅れを防ぐために注意します。 
 
② 材木の調達の遅れによる予算超過を防ぐように注意します。 
  
③ 住宅購入の契約を進行中の方は、各住宅建設業者についての輸入木材への依存度を分析や調査を行い、資材調達、工事遅延状況、コストの増加について注意します。 
 
④ 住宅購入する前に米国の金利の変動に注意します。 

⑥ ウッドショックはいつまで続きますか?今後の見通しは? 

「ウッドショックはいつまで続くのでしょうか?」という疑問を持っている方がいらっしゃると思いますが、残念ながら、今のところウッドショックはいつまで続くのかはまだはっきり言えません。 

とはいっても「2022年以後も木材価格の高騰が続く可能性が高い」、「ウッドショック前の水準に戻らないかもしれない」など様々な予測があります。

いずれにしてもウッドショックが安定するまでにはまだ時間がかかることは間違いないでしょう。

⑦ まとめ 

この記事では、「ウッドショックとは何か?」、「ウッドショックの影響」、「日本の木材需給状況」、「ウッドショック今後の見通し」などについて紹介してきました。 

「ウッドショック」は、世界が直面している多くの危機の一つです。ウッドショックがいつ終わるかは定かではありませんが、落ち着いて対処し、ウッドショックの最新情報を理解して習得すれば、被害を最小限に抑えることができます。

(※1)低金利政策の誘導する: 住宅購入する人が増え、海外投資家の資本が米国に流入し 

コロナ期間、在宅時間が増えたことでDIY需要も増えてきている、従って、木材需要が増えました。 

(※2)秋田魁新聞社(2022年5月31日)はコンテナ不足で海上運送費が上昇の同時に、輸入木材価格も急騰していると報じしました。 

(※3)秋田魁新聞社(2022年5月31日)による、日本はウッドショックを受け、2021年12月の輸入製材品の平均単価は前年同月比で約2.1%倍上昇し、国産木製品の価格も上昇しました。 

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