たった1つの記事でマスターできる!貧困に関する知識?【入門篇】 


「貧困」は、社会が直面している多くの課題の一つです。特に近年、貧困問題はますます深刻化していることにより、国際社会は貧困国や貧困層への支援をさらに重視し、貧困問題をなくす・緩和に向けて様々な取り組みを行い続けています。 

とは言え、「貧困とは何だろう?」や「世界の最貧困国はどこの国だろう?」、「貧しい人々のために私たちができることは何があるだろう?」という疑問を持つ人がいると思います。 

そこで、この記事は入門篇として、貧困についての基礎知識を分かりやすく解説します。 

目次

 

貧困について

  ① 貧困の定義
  ② 貧困の種類 
   (「絶対的貧困」「相対的貧困」「子どもの貧困」
  ③ 貧困を測る基準・指標

 

SDGs目標1:「貧困をなくそう」とは何?

 

貧困はなぜ起こるのか?

 

私たちができること

 

まとめ

貧困について

貧困の定義:

「貧困とは何か」と聞かれると、人々は「お金がない」と答えてしまう傾向があります。しかし実際には、貧困とは、「お金がない」以外には様々な定義があります。 

まず、 

定義 ①  

貧困は「教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手には入れられない状態のこと」と定義しています(国連開発計画、UNDP) 

定義 ② 

「1日1.90ドル未満で暮らす人(国際貧困ライン)」と定義しています。(世界銀行、World Bank) 

上記の2つは、貧困の一般的な定義です。 

簡単に説明すると、生きていくための必要最低限のニーズ(衣食住)以外にも、教育を受けられるかどうか、病気になったら病院で治療を受けられるかどうか、健康的な生活を過ごしているかどうかなどの点から貧困を定義します。 

貧困の種類:

「絶対的貧困」や「相対的貧困」、「子どもの貧困」などな言葉をよく耳に胼胝ができるほど聞いたが、その定義を十分に理解できているでしょうか? 

以下は、貧困の種類を簡単に紹介します。  

  • 「絶対的貧困」とは、 

・貧困レベルは生活を深刻な脅威をもたらし、そして生きるために最低限必要な「衣食住」が満たされていない状態を指します。(内閣府「子供の貧困を考える」により引用) 

・また、世界銀行(World Bank)が定めており、1日1.90ドル未満で生活を過ごしている人を絶対的貧困と定義しています。 

・例:住む家が無いや飢餓で飢えている子ども、ストリートチルドレン等 

・絶対的貧困の状態にある国:発展途上国(※1)問題になっております。 

・「絶対的貧困」国ランキング: 

出典:Half of the world’s poor live in just 5 countries (2015)|World Bank Blogs

最新データ(World Bank Blogs, 2019年)から見ると、7億3,600万人極度の貧困生活を送っており、うち約半数(3億6,800万人)が5か国、(降順)インド、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、エチオピアとバングラデシュに集中しています。また、南アジアサプサハラ・アフリカ貧困層が多く、世界の貧困層の85%(6億2,900万人)を占めています。 

・絶対的貧困の状態で生活する人々は命を失うリスクが高く、日常で尊厳が踏みにじられる場合が多いです。 

  • 「相対的貧困」とは、 

・その国や社会、地域などにおいてほとんどの人が享受している「普通の生活」 を送ることができない状態を指します(内閣府「子供の貧困を考える」により引用)。 

すなわち、「国民の所得の中央値の半分未満」の人 (ある国や社会、地域などに住む多くの人たちよりも所得が少ない人)イコール相対的貧困です。 

・例:厚生労働省により、2021年、日本の所得の中央値は年収約427万円です。すなわち年収約214万円以下が相対的貧困となります。 

・相対的貧困の状態にある国:日本を含む先進国で問題になっております。 

 ・「相対的貧困率」国ランキング(2019年): 

Top 1: 南アフリカ (27.70%) 

Top 2: ブラジル (21.50%) 

Top 3: コスタリカ (19.90%) 

Top 4: 米国 (18.00%) 

Top 5: ブルガリア (17.60%) 

ちなみに、日本の相対的貧困率は15.70%、Top 12を占めています。 

(*上記は2014年から2019年までのデータに基づくランキングです。) 

・相対的貧困の状態で生活する人々は生まれた時から機会のギャップに直面し(医療を受けるや教育を受ける機会など)、不公正な社会で生きています(競争する際のスタートラインが異なる)。 

  • 「子どもの貧困」とは、 

・ Child Poverty,「貧しい子どもたち(0-17 years old)の物質的精神的感情的な資源剥奪」を指します(UNICEF)。 

・例:子どもの権利条約にある権利が守られていないこと 

・UNICEFによると、3億5,600万(7人に1人)の子どもが極度の貧困の中で生活をしており、約10億人の子どもが多面的な(教育や保健受けられないなど)貧困の中で暮らしています。 

・日本では近年広がっている「子ども食堂」(※2)の取り組みがあります。 

子どもの貧困詳しい情報はこちら 

ほかにも、一時的貧困(自然災害や季節によって生まれた貧困)や慢性的貧困(構造的または長期的貧困状態)があります。 

詳しく説明はこちら 

貧困を測る基準や指標 :

続いては、貧困を測る基準・指標について見てみましょう。 

国際労働機関(ILO)により所得以外の基準:ベーシック・ヒューマン・ニーズ(Basic Human Needs) 

=「衣食住の必要だけでなく、安全な飲料水公衆衛生へのアクセス、医療教育雇用といった生活条件も含まれている」基準です。 

国際開発部内の経済研究センター(OPHI)により:多元的貧困指数(Global Multidimensional Poverty Index, MPI 

出典:Global Multidimensional Poverty Index|OPHI

=金銭からだけではなくて、健康、教育、生活水準3つの側から貧困状況を把握しようとする指標です。 

・UNDPにより:人間開発指数(Human Development Index) 

3つの指標から貧困率を算出します。 

1.長寿で健康な生活 

2.知識率  (識字率と教育の総就学率)

3.人間らしい生活 

要すると、所得以外の要素から貧困率を測ります。 

・国連開発政策委員会(CDP)に認められた3つの基準: 

①一人総所得(GNI)(※3)の3年間平均値が1,018米ドル以下であること; 

②健康や成人識字率などに基づく人的資源指数(Human Assets Index, HAI)が一定値以下であること; 

③経済の安定度などに基づく経済的脆弱性指数(Economic Vulnerability Index, EVI)が一定値以下であること 

この3つの基準を満たしている後発開発途上国(LDC)は、最貧国として認定されます。 

2021年8月時点で46か国が認定されています。 

(*LDCリストは3年ごとに見直されます) 

この一連の基準と測る指標により、国際社会は、性別年齢を問わず、誰も無視せずに、国々の貧困状況をより正確に把握することができます。 

*国際通貨基金(International Monetary Fund, IMF)は、加盟国(190か国)の経済力に関るデータを公表するなどの作業を行い機関であり、よってIMFを通して各国・地域の最新経済状況を知ることができます。 

SDGs 目標1:「貧困をなくそう」とは何?

国際社会は貧困を解決・なくすために、様々な支援活動、計画、政策も国際社会によって採用されています。 

例として:SDGs 目標1:貧困をなくそう

「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」 

目標1は貧困に置かれた人々たちの生活を改善及び支えるための目標・政策です。 

そして、目標1には7つのターゲットがあります。 

貧困はなぜ起こるのか?

貧困は、主に戦争・紛争自然災害が原因で引き起こされます。 

戦争・紛争 

経済や政治、社会及び生計を維持する農耕・牧畜などに壊滅的な打撃をもたらし、住民は難民になることを余儀なくされ、貧しい生活を送るとなります。 

自然災害 

干ばつや洪水、地震、厳冬の自然災害が頻繁に発生する国の住民は災害の影響を受け、生活が困難になったり支援を求めている人が増えたりしてしまいます。 

私たちができること

貧困層の人たちは 

・家、家族、仕事を失い; 

・食糧不足、栄養不良及び教育の機会を奪われ(特に子どもの場合)、安全な水が手に入りにくい; 

・児童労働、児童婚などケースが増えてしまい; 

・病気になっても病院に行けない; 

・心身の健康を損ない。。。の生活を送っています。 

彼らを貧しい生活から抜け出すために、私たちができることは 

寄付ボランティア情報の拡散及び呼びかけ 

などがあります。 

さらに、貧しい生活から抜け出すカギは 

①一時的な食糧及び生活支援(貧困層の人たちが必要最低限の生活を送れるようにするためです); 

②職業訓練の支援活動(貧困層の人たちが自立して生活できるようになるためです) 

以上、この2つです。 

従って、貧困問題を解決する国際支援団体へのサポートも重要ではないでしょうか。 

貧困問題をなくすため取り込んでいる団体について紹介します。 

日本ユニセフ協会(UNICEF) 

ワールド・ビジョン(World Vision) 

難民を助ける会(AAR Japan) 

他にも、色々な緊急人道支援を行うNGO組織はことら  

まとめ

貧困に関する知ってほしい基礎知識を簡単に解説してきました。 

現在の社会は「貧困が貧困を生む」という悪循環に巻き込まれています。そして、こういう悪循環から抜け出すには、皆様の協力及び関心がきっかけになるので、是非貧困問題の解決にご協力お願い致します。 

キーワードチェック: 

(※1)発展途上国:「開発途上国」と「後発開発途上国」の総称です。  

「開発途上国」の中で開発が遅れた国々は「後発開発途上国」(Least Developed Counrty, LDC)と呼ばれ、最貧国とも指しています。 

(※2)「子ども食堂」:無料、或いは安価で栄養のある食事を貧しい人々に提供する支援活動です。 

(※3) GNI (国民総所得、 Gross National Income ):「居住者が国内外から1年間に得た所得の合計」を表します。 

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